入 院 治 療

娘の治療計画

      娘(にこ@)が受ける治療は、小児白血病研究会(JACLS)の治療研究で、ALL-02プロトコールと
     呼ばれるものでした。白血病にも色々なタイプがあるそうですが、娘の場合は、SR-02の治療計画に
     沿って、進められることになりました。
      以下の内容については、にこ@の体験を織り交ぜて書いていますが、医学は日々進歩しております
     ので、ご参考までに。

寛解導入療法

      診断後、最初に行われる治療で、寛解(骨髄中の芽球<白血病細胞>が5%以下になる)を
     得るのが目的です。
      開始後一週間投与されるステロイドの効き具合により、リスクが変更になることもあると聞いて
     いたため、どうか、診断時のままのスタンダードリスク(SR)でいけるよう、祈るような気持ちでした。
      寛解導入療法では、プレドニン、ビンクリスチン、アドリアマイシン、L-アスパラキナーゼなどの薬
     が用いられました。合わせて、薬の届きにくい髄膜で白血病細胞が増えないよう、髄液に直接薬を
     注入する髄注も行われました。必要に応じて、赤血球や血小板の輸血も行われました。
      にこ@の場合、初回ステロイドも「効く」方に入ったらしく、予定通り、治療が進んでいきました。
      ですが、この寛解導入の間に、「恐怖の4日間」を経験しました。
      治療開始後、19日目のこと、朝から39度3分の発熱がみられました。ちょうど、薬の副作用で
     骨髄機能が抑制され、白血球が激減、顆粒球が0の時期のことです。
      抗生剤、グロブリン、ジフルカンなどが投与されましたが、熱は一旦下がっても、また40度近くに
     上がるという状態が、続きました。
      こういった時期の感染症で命を落とすことがあるということで、心配で心配でたまりませんでした。
      診断時に見せなかった涙を、この時はじめて流したのを覚えています。
      幸い、4日目に原因菌が特定でき(溶連菌)、それをターゲットにした薬にきりかえることが
     出来たおかげで、無事乗り越えることができました。
      その後は、順調に治療がすすみ、33日目のマルクで、無事寛解を確認することができました。

          にこ親子メモ
        
         それまで、病気知らずのにこ@にとっては、突然の入院、点滴につながれた毎日に、
        最初の頃は、目を閉じながら涙を流していたこともありました。
         年齢が小さいせいか、不安も大きく、私がトイレや売店に行くため、部屋を出ることすら
        嫌がり、私も一日一食しか食べられなかったという日が何日もありました。
         入院から一カ月半、にこ@は、全くベッドから降りたがらず、ベッドで横になるか、座るか
        だったので、足も細くなり、筋力が低下し、その後歩こうとした時は、歩けなくなっていて、
        つかまり立ちから練習しました。
         双子のもう一人、にこAは、私の母親と、義母が交代でみてくれることになりました。
         感染予防に、子供の面会は禁止されていました。急に離れ離れになった親子、子供の
        方は、それなりに適応し、みんなに可愛がってもらっていたようですが、私の方はさみしくて
        たまりませんでした。色々なことを考え過ぎて、眠れない夜がたくさんありました。
         

地固め・強化療法

        寛解導入療法で、寛解になったら、血液検査では、一見正常に見えますが、体の中にはまだ
       白血病細胞が残っています。このままでは、これがまた増えてきて、再発してしまうので、これら
       を化学療法で少なくするのが、地固め・強化療法です。
        JACLSの場合、地固めの治療法は二種類あり、どちらの治療法が選択されるかは、くじ引き
       で決まります。にこ@は、Bコースに決まり、エンドキサン、キロサイド、デカドロンが用いられ、
       髄注も行われました。キロサイドを120時間連続で投与し続けるというので、どの程度の副作用
       が出るのかとても心配でした。髪もずいぶん抜けてきました。
        この治療による、副作用の骨髄抑制は年末がピークで、12月30日の白血球300が最低値
       でした。寛解導入中に敗血症の恐怖を経験しているので、季節的にも、感染予防にはより一層
       気を配りました。
        年が明け、1月6日より、メソトレキセートの投与がはじまりました。
        1月19日に、二度目の発熱がありましたが、今回は、自力で闘えてるような血液所見だった
       ので、前回ほどは心配しませんでした。
        これらの治療中は、きつい薬に身体がしんどくなるのか、夜中に抱っこをせがむことが多かった
       です。入院生活も長いですが、感染予防のため、部屋からは一歩も出ることができません。
        狭いスペースの中で、抱っこで廊下を見せろとか、窓の外を見せろなどの要求も増えてきて、
       私は腰痛に悩まされるようになりました。でも、こんなことぐらいしかしてやれないし・・・と思うと
       ついついまた抱っこしてしまうのでした。
                                      

           お薬ぎらい

          このころの、一番の悩みは、なんといっても、「お薬ぎらい」でした。
          抗がん剤は、点滴ですが、プレドニンや、感染症対策のお薬(バクタ・ハリゾン・ポリミキシン
         など)は経口で飲まなくてはいけません。
          この中でも、プレドニンとバクタは、すご〜く苦くて飲みにくい薬だそうです。
          まず、飲むのを嫌がる、口に入ってもすぐに吐き出してくる・・・というのが続きました。
          でも、必ず飲まなければならない大切なお薬たちです。吐き出してもまた飲み直しです。
          色々試しました。アイスに混ぜる、おくすり飲めたねというゼリーで包む、錠剤に代えてみる
         など。でも、どれもうまくいきませんでした。多分、味覚の問題に加え、心理的なものも大きか
         ったのだと思いますが。
          色々試しましたが、にこ@の場合、何かに混ぜるという方法は向いてないようで、やはり、
         押さえつけてでも少量の水分で溶いた薬を注射器で一気に飲ませるのが効果的でした。
          私だけではどうにもならない時は、看護婦さんにも手伝ってもらって、飲ませました。
          心の傷を心配しましたが、命のためなので、心を鬼にするよりほかなかったです。

           にこ親子メモ
           
          地固め・強化療法中に、クリスマスとお正月がやってきました。
          いずれも病院で過ごすことになりましたが、行事食などが出て、少しはイベント
         気分を味わえます。クリスマスは、同じ病気で闘病中の子が維持療法中の髄注で入院
         の日だったのですが、そのお母さんがケーキを買ってきてくれて、夜中、子供が寝てから
         ナースステーション前でミニクリパをしました。
          感染防止のため、家族ですら面会は最小限で、コミュニケーション手段は、携帯電話の
         メールだけという、孤独な日々を過ごしていた私には涙が出るほどうれしいお心遣いでした。
          その他にも、私の友人からはたくさんのお見舞いやプレゼントを送ってもらいました。
          満足な食事が取れない私を気遣って、重箱3重につめられた手作りお弁当と、内緒の
         缶ビールを届けてくれた友人もいました。
          非日常的な場面に立たされた時、周りの人の行動や言動を、善くも悪くも、より冷静に
         見ることが出来るものだと思いました。
          反面、自分は一体、どれだけ人を思いやり、役に立てることがあるだろうか・・と考えさせ
         られる入院生活でもありました。
          世の中が、ハッピーニューイヤーでも、病院の中では、いつもとかわらず勤務するナースが
         いる・・・当たり前のことですが、あらためて、大変な仕事だなと思いました。
                       

再寛解導入療法

       寛解導入で用いた薬を使って、17日間、治療を行います。
       1月26日から、スタートしました。
       やはり、抗がん剤が入った日は、横になったりゴロゴロすることが多いです。
       プレドニンで食欲増進、おしりの注射(L−アスパラキナーゼ)は大嫌い・・・という日々です。
       これまで行った、髄注で、頭に異常が出ていないか、MRI検査も行われました。
       この治療がはじまってから数日したある日突然、あれほど悩んだ、お薬ぎらいが嘘のように
      治ってしまいました。一体、どうなっているのかわかりませんが、とにかく受け入れてくれるように
      なり、安心しました。SRでは、退院後の維持療法は、ほとんどの薬が経口になるので、本当に
      どうしようかと悩んでいたからです。
       再導入も、トラブルなく、無事乗り切り、これで、予定していた、入院を必要とする治療はすべて
      終了しました。 にこ@、本当によく頑張ったね。

          にこ親子メモ

         2月11日で、予定していた、入院を必要とする治療はすべて終了したのですが、その後、
        白血球の立ち上がりを確認したり、維持療法で使う薬を試してみて、どの程度の副作用が
        出るか、チェックしたりするため、まだしばらく病院暮らしです。
         入院が冬だったことや、治療と治療の間でも、にこ@の白血球値がずーっと低いこともあり、
        結局退院まで一度も外出、外泊することなくこもりました。付き添いの私もです。
         ずいぶん会っていないにこAのことを考えると、ノイローゼになりそうでした。
         入院中、私は週に一度、病院近くの銭湯に通っていました。髪の毛だけは、入院患者さんが
        洗う洗髪台を使わせてもらって、3日に一度くらい、洗わせてもらっていました。
         治療中のにこ@は、4ヶ月の間、一度だけ病院のお風呂に入っただけでした。
         冬でよかったなぁ・・・。
         再導入の頃になると、にこ@も随分、病院暮らしに慣れて、20分くらいなら、一人で病室で
        待てるようになりました。
         長い、病院暮らしでしたが、3月6日、無事退院することができました。
                  

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